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成長戦略とは

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成長戦略とは

成長戦略の本質は、事業を「偶然の成功」に委ねるのではなく、「必然」として繁栄させるための手を打つことにあります。社長の最大の重要事は事業の方向性を決定することであり、時代の流れを見極め、それに沿う形で自社の体質を高収益構造へと変え続けるプロセスそのものが成長戦略です。

成長拡大と安定の両輪で考える

事業の永続的な繁栄には、「成長拡大」と「安定」という二つの要素を同時に追求することが命題となります。

成長戦略:新規顧客の開拓や売上・粗利益の増大を目指す攻めの側面。成長を止めれば、会社はやがてジリ貧に陥ります。

安定:獲得した顧客を守り、繰り返し利用してもらう守りの側面。安定を欠いた成長は、穴の開いたザルで水をすくうようなものであり、長続きしません。


成長戦略の全体像

成長戦略は、バラバラな施策の集まりではなく、体系化された「繁栄の六大戦略」として捉える必要があります。

① 成長拡大の3大戦略(攻めの体勢)

売上と利益を積極的に伸ばしていくための土台となる戦略です。

・増客戦略:前年よりもお客様の数を増やすこと。14の手法(地域拡大、販売方法の複合化、ウェブ活用など)を駆使し、絶えず新規開拓を続けます。

・売価・粗利益・数量戦略:単に売上高を追うのではなく、一単位あたりの粗利益を最大化する「値決め」を行います。

・強い経営体勢(人・資本・設備):成長を支えるための組織づくり、自己資本比率の向上、競争力となる設備投資を先手で進めます。

② 安定を築く3大戦略(守りの体勢)

高収益を維持し、不況に負けない基盤を作るための戦略です。

・繰り返し売れるシステム:サブスクリプションや定期購入など、人為的に購入頻度を高める仕組みを構築し、固定客化を図ります。

売りモノを磨く(差別化):ライバルと比較された際、自社が選ばれる「理由」を徹底的に強化します。商品そのものだけでなく、サービスや信頼性も含まれます。

・お客様第一主義:全社員が「自利利他」の心で顧客に尽くす思想を徹底し、ファン(熱狂的リピーター)を創出します。

戦略構築の基盤(5本の柱とグランドデザイン)

・五本の柱:単一の商品や得意先に依存せず、収益の柱を5本持つことでリスクを分散させます。

・長期繁栄のグランドデザイン:10年、20年、さらには100年先を見据えた「将来のビジョン」を文章化し、事業デザインを描きます。


中小企業でやるべき実務、成功させるためのポイント

中小企業が限られたリソースで成長を成功させるためには、以下の実務を確実に遂行する必要があります。

「必要粗利益」からの逆算による目標設定

売上目標を先に決めるのではなく、損益計算書(P/L)を「下から上へ」逆算して作成します。最終的に残したい利益(内部留保)や借入返済額を決定し、そこに必要な営業利益を算出します。算出した利益に固定費(人件費、家賃など)を足し、稼がねばならない「必要粗利益」を明確にします。必要粗利益を粗利益率で割り、達成すべき最低限の売上高を算出します。この手順を踏むことで、「売上は増えたが金が残らない」という事態を防げます。

経営環境の鳥瞰(ちょうかん)と先見

30年先の趨勢を見通し、次の8つの視点から自社への影響を予測します。天災、世界情勢、景気、市場変化、国際化、法律・ルール、技術革新、源流管理(先行指標の観測)。 これらを「短期」と「長期」で整理し、解決すべき経営課題を特定します。

「見込み」と「受注」の体質改善

自社の事業が「値段と数量を顧客に握られている受注体質」か「自社で決定できる見込み体質」かを見極めます。

受注体質の場合:得意先数を増やして依存度を下げ、自社固有の技術や完成品を開発して「見込み」の要素を採り入れます。

見込み体質の場合:在庫リスクを制御するため、あたかも受注事業のように「完売」を目指す仕組み(予約販売や定額制)を導入します。

組織の「新陳代謝」と「一歩先の設計」

5年刻みの人事計画:幹部の定年や世代交代を可視化し、一歩先の成長フェーズを見据えた採用・教育を行います。
社長の分身づくり:社長の意志を代行する「片腕」と、作る(製造)・売る(営業)・分配する(総務)の3部門の腹心を育てます。

社長自らが「マ一ケッター」として現場に出る

社長は社長室に閉じこもる(アナグマ社長)のではなく、自ら市場に出て顧客の本音を吸い上げなければなりません。社員やデータの報告を鵜呑みにせず、自らの感性を研ぎ澄ませて「他社にない異」を創り出し、売りモノを磨き続けることが成功の絶対条件です。

設備投資は「減価償却」の範囲内で行う

健全な成長を維持するため、設備投資は原則として「減価償却費 + 利益剰余金」などの返済義務のない自己資金の範囲内で行います。踊り場(小休止)を設けながら段階的に投資することで、財務体質を悪化させずに最新の武器(技術・設備)を揃えることが可能になります。


まとめ

成長戦略とは、時代の変化を先読みし、自社の弱点を補強しながら、お客様から「なくては困る」と言われる存在であり続けるための不断の努力です。社長がロマンと野望を持ってグランドデザインを描き、戦略を「必然」として実行し続けるとき、企業は幾代にもわたる繁栄を築くことができます。


この記事の引用元:『儲かる方向性の決め方』(日本経営合理化協会 理事長 牟田太陽著)

●五年先、十年先、また永遠に売上利益を確保していくために、社長が意図して方向性を決める根本原理と打ち手を知らなければ、必然的に事業を伸ばすことはできない─
 事業の成長拡大と安定を同時に画す〝六大戦略〟、不測の危機に会社を潰さない〝正しい多角化のやり方〟、コスト高でも利益キャッシュが増大していく高収益体質への転換策…
 オーナー経営に精通、多くの企業を発展、甦らせてきた著者が、時代の大きな変わり目に奮闘する経営者へ、「永く大きく儲かる会社づくり」に必須の事業哲学と戦略実務を緊急提言した、衝撃の経営指南書。

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この記事を書いた人

日本経営合理化協会 出版局です。「ビジネスを成功に導く」をコンセプトに経営用語と、その活用法を解説します。

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