税引前利益とは

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税引前利益

損益計算書(P/L)に記載される5つの利益の中で、社長が節税と資金繰りの観点から最も戦略的に向き合うべき数字が「税引前利益」です。

この記事では、税引前利益の仕組みから、なぜこの利益をあえて「赤字」にすることが強い会社を作るのか、その「磨きかた」を解説します。

税引前利益の仕組み

税引前利益は、本業や営業外の活動による「経常利益」に、その期限りの「特別利益」を加え、突発的な費用である「特別損失」を差し引いて算出されます。

この利益の最大の特徴は、法人税・地方税の課税対象となる基準の数字であるという点です。つまり、この数字が大きければ大きいほど、社外へ流出する税金も増えることになります。

戦略的な「赤字」を目指すべき利益

多くの経営者は「利益は黒字が良い」と考えがちですが、財務に強い社長は、「営業利益は黒字、税引前利益は赤字(または少額)」という形を目指します。

銀行は格付け(スコアリング)において、本業の稼ぐ力である「営業利益」を最も重視するため、その下の税引前利益が赤字であっても、内容が「特別損失」によるものであれば評価を落とすことはありません。

むしろ、戦略的に税引前利益を圧縮し、無駄な納税を抑えて手元にキャッシュを残すことこそが、真の銀行対策であり資金繰り対策なのです。

「特別損失」で利益を磨き上げる

税引前利益をコントロールするための最強の武器が「特別損失」です。

以下のような項目を適切に計上することで、本業の成績(営業利益)を汚さずに、課税対象額を下げることができます。

役員退職金の支給:高額な退職金を特別損失に計上し、利益を相殺する。

不良資産の除却・売却:売れない在庫の廃棄、回収不能な売掛金の除却、含み損のある土地や投資有価証券の売却などを実行する。

臨時費用の仕分け:災害復旧費や創立記念行事の費用など、通常発生しない費用を販売管理費(固定費)から特別損失へと振り分ける。

赤字がもたらす「10年間の節税効果」

特別損失によって税引前利益が大きなマイナスになれば、法人税の支払いは不要になります。

さらに、その赤字(欠損金)は翌年以降に繰り越すことができ、最大10年間にわたって将来の利益と相殺し、納税額を減らす「貯金」のような役割を果たします。

まとめ:税引前利益は社長が「作る」もの

税引前利益は、単に計算の結果として出てくる数字ではなく、社長の意図を持って「作る」ものです。

どの利益を黒字にし、どの利益を赤字にするかという明確な意思を持って決算書を磨き上げること。それが、会社に最も多くのキャッシュを残し、永続する企業をつくるための秘訣なのです。


この記事の引用元:『社長の決算書の見方・読み方・磨き方』(ICOコンサルティング社長 古山喜章著)

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著者 古山喜章氏について:オーナー社長の困りごとを解決する助っ人として活躍する実力コンサルタント。
 大学卒業後、兵庫県の中堅食品メーカーに入社。主に管理部門のキーマンとして活躍、さまざまな経営改革や制度導入にたずさわる。
 2005年、儲けの構造を知り尽くした、わが国屈指の名経営コンサルタント井上和弘氏が率いる、株式会社アイ・シー・オー コンサルティングに参画。師匠の井上和弘氏からじかに井上式財務を学び、会社に残るおカネを最大化し体質を強化する財務改善、決算対策、銀行交渉、事業承継、相続問題などで抜群の実績を上げる。
 氏の現場のウラのウラを知り抜いた財務ノウハウと、社長と同じ目線に立った懇切丁寧な指導に、経営者から高い評価を得ている。

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この記事を書いた人

日本経営合理化協会 出版局です。「ビジネスを成功に導く」をコンセプトに経営用語と、その活用法を解説します。

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