キーニーズ法とは 経営者が知っておきたい定義と活用法

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キーニーズ法

キーニーズ法とは、顧客の「ニーズ」を軸に据えて潜在ニーズを発掘し、1年以内に売上10億円を達成できる「10億アイデア」を意図的に生み出すために開発された世界初のメソッドです。

この手法は、伝説のマーケッターと呼ばれる故・梅澤伸嘉氏によって考案され、これまでに「カビキラー」「禁煙パイポ」「ウコンの力」など、累計売上7兆円以上にのぼる数々の大ヒットロングセラー商品を生み出してきました。

キーニーズ法の誕生背景と「商品コンセプト」の発見

キーニーズ法は、梅澤氏がサンスターでの商品開発において失敗を繰り返す中で、「何を作れば売れるのか」という問いに直面したことから誕生しました。

氏は、当時の消費生活学の権威であった小嶋外弘先生から、単なる使い勝手(人間工学)を超えた、生活者の心理的不満や不安まで考慮する「生活工学」の重要性を学びました。

決定的な転機となったのは、ある映画を観た際、魅力的な女性(商品)に惹かれて付き合ってみたものの、すぐに別れてしまう恋愛劇を「顧客の初回購入とリピート」に重ね合わせたことです。

この体験から、氏は「良い商品を作れば売れる(使用後の満足度)」だけでは不十分であり、「買う前に欲しい、買いたいと思わせる力」である「商品コンセプト」こそが、ヒットの成否の50%を握る鍵(キー)であると確信しました。

この「ニーズを鍵としてコンセプトを導き出す体系」が、1969年に発表されたキーニーズ法の原点です。

キーニーズ法の核心:「潜在ニーズ」と「未充足の強いニーズ」

キーニーズ法が目指すのは、顧客も企業も気づいていない、心の奥底に眠っている「潜在ニーズ」の発掘です。

大ヒットの絶対条件は、「未充足の強いニーズ」に応えることです。

未充足(Unmet): 現在、そのニーズを充たす手段が存在しない状態。

強いニーズ: 「ぜひ買いたい」と思うほど強い欲求。ニーズが弱ければ、未充足であっても購入には至りません。

モノが溢れる現代、顧客に「何が欲しいか」を聞いても答えは返ってきません。

しかし、具体的なコンセプトを提示された時に「これが欲しかった!」と気づくのが潜在ニーズの特徴です。この「見えないニーズ」を体系的に掘り起こすのがキーニーズ法です。

潜在ニーズ発掘の構造図「キーニーズ・ピラミッド」

潜在ニーズにたどり着くための基本構造を視覚化したものが「キーニーズ・ピラミッド」です。ピラミッドの頂上にある「潜在ニーズ」を掘り当てるために、土台となる3つの情報を集める「道具」として活用します。

①「行動・使い方」情報: 進むべき道を照らす「ヘッドライト」の役割。顧客が目的達成のために普段行っている動きや、商品の使い方を指します。

②「不快な状況と気持ち」情報: 内面を掘り下げる「スコップ」の役割。行動に伴って発生するストレスやイライラなどのマイナス感情を特定します。

③「ニーズ(~したい)」情報: 金塊のありかを指し示す「金属探知機」の役割。その行動をとっている本来の目的を「~したい」という表現で言語化します。

潜在ニーズを発掘する3つのアプローチ

ピラミッドの頂上を目指すルート(アプローチ)は3つ存在します。

行動観察アプローチ

顧客が普段行っている「行動」からスタート。

事例:『カビキラー』。「タイルの目地をゴシゴシこすって洗う」という苦労(不快な状況)を観察し、「こすらずに根こそぎ取りたい」という潜在ニーズを発掘しました。

使い方観察アプローチ

特定の商品カテゴリーの「使い方」からスタート。

事例:『写ルンです』。「カメラを使う」際の「持ち歩きが重い、忘れると撮れない」という不満から、「カメラを忘れても(持っていなくても)思い出を画像に残したい」というニーズを導き出しました。

強み活用アプローチ

自社の「独自の強み」をどう役立てられるかからスタート。

事例:『ウコンの力』。「ウコン原料の保有量日本一」という強みから、「お酒を飲む前に飲んで、二日酔いを予防したい」というニーズを創造しました。

「天才ニーズ」を判定する10億ニーズ・チャート

発掘した潜在ニーズが本当に売れるもの(金塊)かどうかを、独自のアンケート調査で定量的に分析します。調査ではニーズの「強さ」と「未充足度」を%で算出し、「10億ニーズ・チャート」にプロットします。

天才ニーズ(10億ニーズ): 強さ・未充足度ともに50%以上の領域。大ヒット・ロングセラーになる確率が極めて高い。

凡人ニーズ: ニーズは強いが、既に充たす手段がある。競合とのシェア争いになります。

変人ニーズ: 未充足だが、ニーズ自体が弱い。誰も欲しがっていない状態です。

出来の悪い凡人ニーズ: ニーズが弱く、既に手段も存在する最悪の領域です。

この客観的な判定により、開発担当者は「これは売れる!」という確信を持ってプロジェクトを推進できるようになります。

「10億アイデア」へ昇華させる商品コンセプトの公式

判定された「天才ニーズ」を、売れる商品の設計図である「商品コンセプト」にまとめます。これには梅澤式独自の公式が使われます。

商品コンセプト = ①顧客に与える効用・便益 + ②商品アイデア + ③新カテゴリー名

効用・便益: 潜在ニーズ(~したい)を「~できる」と言い換えたもの。

商品アイデア: その効用を実現するための具体的な技術や工夫。

新カテゴリー名: 商品が何であるかを一言で伝える名詞。商品名以上に重要視されます。例えば『カビキラー』なら「カビ取り剤」というカテゴリー名を明確に打ち出すことで、顧客の潜在ニーズを顕在化させます。

まとめ

キーニーズ法は、競合他社とシェアを奪い合う「差別化」ではなく、顧客の未充足ニーズに応える「独自化」を追求する理論です。

20を超える大ヒット事例に裏付けられたこのメソッドは、製造業からサービス業、BtoBからBtoCまで、あらゆる業種で活用可能な「ヒットの万能マニュアル」です。


この記事の引用元:『10億アイデアのつくり方』(梅澤大輔著・橋本陽輔監修)

ファミコン、DS脳トレ、ウコンの力、R1、午後の紅茶、カビキラー、じゃがりこ、テプラ、ジョイサウンド、明治おいしい牛乳、機動戦士ガンダム戦場の絆、サンスタートニックシャンプー…

 100を超える大ヒット商品を生みだした画期的な手法(キーニーズ法)を、誰でもワークシートに書き込むだけで、次々とアイデアを生み出せるようにした実践マニュアル。

さらに、発掘したアイデアが、10億円を超えるアイデアであるかどうかがわかる調査法も初公開し、さらに、長年、非公開のコンサルティング現場で使われていた、秘伝の独自ノウハウ(小冊子)も袋とじに収録。

著者 梅澤大輔氏について:北海道大学大学院を卒業後、岩谷産業(東商プライム)を経て、伸嘉氏が創業したコンサルティング会社に入社。キーニーズ法を企業内に定着させる教育プログラムを構築し、さまざまな企業のコンサルティングを10年おこなう。キーニーズ法を導入した国内外の企業からは、新カテゴリーのヒット商品・サービスが誕生し成果をあげる。
 2011年梅澤式の商品企画を継承するために、伸嘉氏と二人で商品企画エンジンを創業。梅澤式商品づくり(キーニーズ法)を進化させながら、10億規模のビジネス創出を本気で目指す企業に、潜在ニーズ発掘による商品化・事業化のコンサルティングをおこない、現在に至る。

監修者 橋本陽輔氏について:ダイレクトマーケティング専門のコンサルティング会社を経て、増客・リピート指導の実務専門家として活躍。氏がまとめた著書『社長が知らない秘密の仕組み(ビジネス社)』は、健康食品で有名な「やずや」の大番頭・西野博道氏が開発した「顧客ポートフォリオ理論」を初めて世に紹介した書として、6カ月連続アマゾン総合ベストセラー入りし、発刊から10年以上たった今も増刷を重ね、リピーター顧客倍増のバイブルとして高く評価されている。
 また多才な氏は、難解な手法を、誰でも実践できるように噛み砕いて指導する手腕もズバ抜けていることから、経営者の懐刀(ふところがたな)として様々な業界にてアドバイス活動をおこなっている。

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この記事を書いた人

日本経営合理化協会 出版局です。「ビジネスを成功に導く」をコンセプトに経営用語と、その活用法を解説します。

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