「流動資産」と「固定資産」
貸借対照表(B/S)の左側は「資産の部」であり、会社が保有する「資産目録」を表します。この資産は上下二段に分かれており、上が「流動資産」、下が「固定資産」です。
経営において、この二つのバランスを正しく把握することは、資金繰りと収益性をコントロールする上で不可欠です。
流動資産:1年以内にお金に変わる「流動性」の源泉
流動資産とは、「1年以内に現金化されるもの」を指します。
代表的なものには、現預金、売掛金、受取手形、棚卸資産(在庫)などがあります。 これらは日々の営業活動の中で常に形を変えて循環しており、会社の「支払能力」を支える重要な要素です。
例えば、流動負債(1年以内に支払うべき負債)に対して流動資産が不足している状態は、短期的な資金ショートのリスクを示唆します。
固定資産:長期にわたって富を生む「稼ぐインフラ」
固定資産は、「稼ぐために長期にわたって活用する、現金化しづらい資産」です。
建物、機械装置、車両、土地、投資有価証券などがこれに該当します。 これらは一括で経費にはならず、耐用年数に応じて「減価償却費」として少しずつ費用化されます。
ただし、土地のように減価償却できない資産は、借入金で取得すると返済原資(キャッシュ)を生み出さないため、資金繰りを圧迫する要因となります。
業種別の「理想の体格」と資産の圧縮
資産の最適なバランスは、業種によって大きく異なります。
卸売業:在庫や売掛金が多くなるため、流動資産が固定資産より大きくなるのが標準です。
製造業:設備投資が不可欠なため、流動資産と固定資産が半々程度になります。
サービス業:設備を必要としないため、固定資産は極小であるべきです。
経営者が最も注意すべきは、資産の「メタボ化」
不良在庫、回収不能な売掛金、稼働していない土地などは、総資産を膨らませ、総資産経常利益率(ROA)を悪化させます。これらの「脂肪(ムダな資産)」を売却や除却によって削ぎ落とし、総資産を圧縮(オフバランス)することで、会社は少ない資産で効率よく稼ぐ「筋肉質な体質」へと進化できるのです。
資産を単なる「財産」としてではなく、効率よく回すべき「資本」として捉えることが、社長にとっての真の資産管理と言えます。


